消費者志向自主宣言 活動報告(2021年)

当社は、「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにとってやさしい場所にします」という存在意義のもと、活動してまいりました。
昨今の激しい環境変化の中でも、この存在意義をしっかりと見据え、「お客様に共感され、選ばれるブランド」を目指して社内の力を結集し、邁進していきます。

Pigeon Way

「消費者志向経営優良事例表彰」内閣府特命担当大臣表彰 受賞

当社は消費者庁が主催する「令和 3 年度消費者志向 経営優良事例表彰」において、「内閣府特命担当大臣表彰」を受賞しました。
「消費者志向経営優良事例表彰」は、消費者志向経営の実施に取り組むことを自ら宣言し、その宣言に基づいて優れた取り組み行って いる企業を表彰するものです。

【選考委員会において評価された主な取り組み】
年間数万人にも及ぶアンケートや、母親と乳児が安心して参加できるモニタールームの整備を行い年間 250 組以上の授乳の行動観察を実施する等、消費者のニーズ・声を積極的に収集している。そして、その結果を 他社と差別化した商品開発につなげている。また、本社 1 階に「母乳バンク」を開設し、極低出生体重児の命を守るための普及活動を推進するなど、社会課題の解決に向けた取組を積極的に行っている。
(消費者庁・令和 3 年度消費者志向経営優良事例表彰 選考結果より)

当社は、赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にするために存在する企業として、これからも消費者視点を大切にし、研究の深耕や商品・サービスの開発と推進をしていきます。

みんなの声を聴き、かついかすこと

柏の葉モニタールームオープン

2021年10月、商品開発力のさらなる強化とスピードアップを図るため、赤ちゃんとご家族の行動観察を行う拠点「ピジョン柏の葉モニタールーム」を開設しました。 当社は、1991年に中央研究所を茨城県つくばみらい市に設立、今日までの30年間、多くの赤ちゃんとそのご家族にモニターとしてご登録いただき、赤ちゃんとご家族の行動観察を徹底して行うことで、哺乳器やさく乳器をはじめとする様々な商品を生み出してきました。 赤ちゃんとご家族がリラックスしてご参加いただけるよう工夫して作られた新たなモニタールームを通じ、赤ちゃんとそのご家族の行動観察をより一層深め、商品開発力の強化とスピードアップを図っていきます。

ベビーフードによる栄養摂取と健やかな成長への貢献

当社は、赤ちゃんの発達段階に応じて、必要な栄養バランス、食材の大きさ、固さ、味付けを考慮し、成長段階にあわせたベビーフードを提供しています。また、当社独自の選定基準をクリアした原料のみを使用するなど、安心安全なベビーフードを提供する取り組みもしています。パッケージ表示では、お客様が離乳食を購入する際に特に重視する情報を分析し、店頭でお客様が目的にあった商品を選びやすいよう工夫しています。具体的には、成長段階の目安となる月齢アイコン、視覚的に栄養バランスがわかるレーダーチャートを表示しています。さらに、2021年度から食品ロスの削減を目的に、賞味期限を年月日表示から年月表示に順次切り替えています。

商品改善への取り組み

お客様の商品に対するご意見・ご要望は、苦情対応マネジメントシステムに則り、毎月の「カイゼン会議」において、商品開発部門、品質管理部門、お客様相談室で検討し、商品の改善につなげています。WEB会議も活用し、2021年度の具体的な改善に結びついた件数は、13件でした。

グッドデザイン賞の受賞

2021年のグッドデザイン賞(主催: 公益財団法人日本デザイン振興会)に「ベビーカー nautR NB0(ノートアールNB0)」「バウンサー Wuggy(ウギ―)]「保存・低温殺菌専用使い捨てボトル」の3製品が受賞しました。 中でも、「保存・低温殺菌専用使い捨てボトル」は、早産や小さく生まれた赤ちゃんへ提供されるドナーミルクを安全かつ衛生的に処理・管理する母乳バンクでの保存や低温殺菌をサポートすることを目的に作られました。昨年から当社で取り組んでいる、母乳バンク内でのお困りごとをヒアリングし、より衛生的かつよりスムーズに作業できるような仕様を検討、製品化しました。

未来・次世代のために取り組むこと

中学生を対象とした「赤ちゃんを知る授業」

日本全国の中学生に向けて「赤ちゃんを知る授業~赤ちゃんにやさしい未来のために~」という教育プログラムの提供を開始しました。
先生方が授業を実施するための教材を無料で提供するほか、一部の中学校には、ピジョン社員による授業を行っています。2021年9月下旬より開始し、2022年3月末までに【69校6,616名】の中学生が受講しました。
この活動の背景には、日本では出産育児を取り巻く環境が厳しく、ママやパパの中には「周囲から育児に対して理解を得られていない」と悩む人がいることがあげられます。その要因のひとつとして、核家族化や少子高齢化により幼い頃から赤ちゃんを見たり触れたりする機会が減っていることが考えられます。
そこで、赤ちゃんにやさしい未来の実現を目指す「Baby Friendly Future Project」を発足し、早期から赤ちゃんへの興味・関心を持ってもらい、社会の一員として自らできることを考え、行動につなげる教育プログラムを提供することとしました。
この取り組みを通じて、「赤ちゃんにやさしい未来」の実現を目指していきます。

  • ピジョン社員による授業の様子。2021年度はコロナ ウイルス感染状況を鑑み、オンラインでの実施となりました。

  • ピジョンが提供する教材で、先生が授業を行う様子。

ちいさな産声プロジェクト

【母乳バンク】ドナーミルクを使用されたご家族の座談会

2020年から、一般社団法人 日本母乳バンク協会のゴールドスポンサーとなり、同年9月の「日本橋 母乳バンク」の開設を、全面的に支援しましたが、その後、ドナーミルク利用病院やドナーミルクを利用する赤ちゃんの人数は、着実に増え、実績を積み重ねています。
2021年9月には、日本において母乳バンクの認知をさらに拡大することを目的として、「日本橋 母乳バンク1周年・報告イベント」を開催。日本母乳バンク協会 代表理事の水野先生からドナーミルクの利用実績等を報告いただいたほか、ドナーミルクを使用した症例を紹介したり、実際にドナーミルクを使用した赤ちゃんとご家族にご登場いただき当時の想いをうかがうなど、メディアを通じて、「ドナーミルクの必要性」を広く社会に発信しました。

サステナビリティ経営の推進(サステナビリティ委員会)

サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置するとともに、グループ全社員に向けた浸透活動を実施しています。
サステナビリティ委員会は環境ビジョンの協議や各事業本部の取組み報告を議題として、2021年は4回開催しました。
社員への浸透活動として、ESGに関する教育コンテンツや、各社の取組みを年11回、ESGつうしん(ESG News)として配信し、7月に新入社員を対象としたSDGs研修を実施しました。

サステナブル開発方針

未来の育児環境、地球環境に十分配慮したものづくりを行うためには、まず私たち社員一人ひとりが、環境への影響を考えて行動することが大切です。
“未来を考え、はじめること”から、“役目を果たせる製品をつくりだすこと”“過剰設計ではないか確かめること” “共感してもらい共に歩むこと” “作って終わりにしないこと”を「サステナブル開発方針」に掲げ、ものづくりを行っています。

ピジョン環境ラベル表示基準の策定と運用開始

日本国内において、お客さまが環境に配慮した製品をお選びいただけるよう、当社独自の環境基準「ピジョン環境ラベル表示基準」を満たす製品のパッケージに、「ピジョン環境ラベル」の表示を2021年2月より開始しています。
パッケージ素材にリサイクル原料を使用したり、パッケージをサイズダウンし紙使用量を削減するなど、「ピジョン環境ラベル表示基準」を満たした製品は、2021年度、全対象製品のうち34%に達しました。
2025 年には、日本国内ベビー・マタニティ全製品への表示を目指し、取り組んでまいります。

環境ラベル

食品ロス削減に向けた取り組み

2021年3月から、5つの地方自治体に対し、商習慣上の出荷期限である賞味期間の3分の1は過ぎてしまったものの十分な賞味期間が残っているベビーフードやおやつ、飲料等を寄贈し、各自治体に育児支援としてご活用いただいています。この取組みは、地域社会のお困りごと解決の一助となるだけでなく、当社としても食品ロス対策に繋がっており、総重量3,707kgの廃棄削減となりました。

ピジョン赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン

ピジョンでは、1986年から「ピジョン赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン」を、35年以上にわたり継続して実施しています。
赤ちゃんを育てること(育児)と木を育てること(育樹)はどちらも同じ思いであるという意味を込め、“育児と育樹、心はひとつ”をスローガンに、茨城県常陸大宮市の国有林および社有地である「ピジョン美和の森」に植樹をしてきました。
2021年までの当キャンペーンにご応募いただいた赤ちゃんは延べ190,000人、植樹した本数は累計植樹152,500本になります。
今後も、赤ちゃんを産み育てる感動と喜びを多くの方々と共有するとともに、子どもたちの未来へ残す森づくりに貢献していきます。

  • すくすくハウス

企業主導型ボランティア・ボランティア休暇制度

企業主導型ボランティア活動とは、企業が社員に対してボランティア活動を紹介し、参加希望者を募って実施するボランティア活動です。

当社は、第1回目の活動として、特定非営利活動法人 キープ・ママ・スマイリングが実施する「付き添い生活応援パック無償配布」事業を支援するため、当社商品を手書きのメッセージとともに包装し、寄贈しました。また、第2回目は、東京都中央区が設置する「花咲く街角」プランターにて草花の植え替えを行い、地域住民の皆さんや赤ちゃんとご家族が安心して暮らすことができる環境づくりのための活動を続けています。第3回目は、子どもたちが自由に遊べる環境づくりに貢献をテーマに、認定特定非営利活動法人 おもちゃの図書館全国連絡会 に事前にどのようなおもちゃが望まれているのかご相談の上で、2種類の手作りおもちゃを制作し、寄贈しました。

2021年は赤ちゃんとご家族、地域社会のために3種類の活動を実施し、計19名の社員が参加しました。

育児・家事共有サポートアプリ『我が家のトリセツ』提供開始

赤ちゃんが生まれたばかりの頃は、慣れない生活で慢性的な寝不足になってしまうケースや、「自分しかできない」といった思い込みで、一人で育児・家事を抱え込むといったケースがあります。一方パートナーも、相手が普段している育児・家事のやり方がわからず、うまく参加ができない、といった課題も生じることがあります。
そのような問題を解決し、育児や家事を1人で抱え込まず家族がチームとなって行えるよう、家庭それぞれのやり方を、テキストの他、画像や動画も活用して登録し「トリセツ」として簡単にシェアできる育児・家事共有サポートアプリの提供を開始しました。

おっぱいカレッジ 参加者増加

母乳育児について学べる「おっぱいカレッジ」は、昨年に続き、オンライン開催となりましたが、全国どこからでも参加できるオンラインの良さをフルに活用し、参加者をさらに拡充、昨年対比、約3倍となる2,052名の方にご応募・ご参加いただきました。
産婦人科医と助産師にもご出演いただき、母乳育児の基礎知識やおっぱいケア・授乳姿勢の説明に加えて、ライブ配信とアンケート機能を使って双方向のコミュニケーションを実現、コロナ禍により母親学級が中止になるなど学びの機会を失ったプレママが少しでも疑問や不安を解消できるようサポートすることができました。

おっぱいカレッジ

法令を遵守・コーポレートガバナンスの強化をすること

ガバナンス委員会の設置

当社では、ピジョングループにおけるコーポレートガバナンスのさらなる強化のために、取締役会の諮問機関として、社外取締役を委員長、委員の過半数を社外取締役及び社外監査役とするガバナンス委員会を設置しています。
同委員会は、取締役会の実効性評価の実施等を通じて認識したコーポレートガバナンスにかかる課題について、有機的に連携・統合を促進し、かつ、主体的に実践するという観点で審議し、取締役会に対して助言・提言を行っています。
2021年の活動としては、当社のガバナンスにかかる課題の抽出、対応方法の検討・議論を行い、その成果として、各会議体の役割の明確化、各会議体における連携・情報共有に関する仕組み・体制の見直し等を図りました。

コンプライアンス教育の実施

当社グループでは毎年コンプライアンス研修を実施していますが、2021年コンプライアンス研修では、当社グループのすべての社員に対して、コンプライアンスの重要性を当社代表取締役社長からの動画メッセージで伝えたほか、Pigeon Wayや企業倫理綱領、内部通報制度について、独自の資料を元に説明し、社員が日常業務において身に付けておくべきコンプライアンスの浸透を図りました。

マネジメントレビューの開催

本年度も「マネジメントレビュー」を6月、12月の2回開催し、「お客様のお声」を社長と経営層に報告し、課題について議論しました。お客様対応の音声を全員で聴き、お客様の視点、感覚を共有したうえで課題への議論へつなげています。