母乳バンク支援活動 Vol.1

どんな状態で生まれても
成長する力を育める

母乳バンク支援活動 Vol.1

日本

世界では、毎年出生数全体のおよそ7人に1人にあたる約2,000万人以上の赤ちゃんが2,500g未満の低体重で生まれています。※1 そのなかでも、様々な感染症や病気に罹るリスクが高い極低出生体重児(1,500g未満で生まれた赤ちゃん)においては、「母乳は薬のように大切なもの」とされ、母乳を与えることによって、生死に関わる壊死性腸炎に罹るリスクを、人工乳に比べおよそ1/3に低下させる効果があると言われています。※2

※1 公益財団法人 日本ユニセフ協会HP

※2 QUIGLEY MA. HENDERSON G. ANTHONY MY. ET AL. FORMULA MILK VERSUS DONOR BREAST MILK FOR FEEDING PRETERM OR LOW BIRTH WEIGHT INFANTS. COCHRANE DATABASE SYST REV. 2007; (4):CD002971.

しかし、全ての母親が出産直後から十分な母乳が出るわけではなく、必要量の母乳を与えられないこともあります。そのような場合、寄付された母乳を低温殺菌処理した「ドナーミルク」を与えることが推奨されており※3、その処理・保管をする施設が「母乳バンク」です。ピジョンでは、専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族向けの活動の一つとして、日本をはじめとして、中国・インド・ベトナムなどにおいても、母乳バンクの支援を行っています。

※3 早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言, 日本小児医療保健協議会栄養委員会, 日本小児科学会雑誌, 第123巻第7号

日本での取り組み

母乳バンクは、2017年には、世界50カ国以上で600カ所以上が開設されていますが、日本ではこの取り組みをピジョンが始めた当初は、1カ所のみ(2020年8月時点)でした。日本でドナーミルクが必要な赤ちゃんは年間3,000~5,000人と想定される中、施設が圧倒的に不足しています。日本において母乳バンクを普及するためには、施設の整備だけではなく、母乳を寄付する「ドナー」、ドナーミルクを使用する「病院(NICU:新生児集中治療室)」、ドナーミルクをもらう赤ちゃん「レシピエント」ら関わる全ての方との連携・協力・理解を促進していく必要があります。

ピジョンは2020年9月、当時日本で2拠点目となる「日本橋 母乳バンク」を本社1階に開設する支援を行うなど、様々な活動を始めました。2021年には日本母乳バンク協会主催の「母乳バンクのドナーミルクを利用された赤ちゃんとご家族の座談会」の事務局として開催した他、母乳バンクの認知向上に向けた普及活動を積極的に実施するなど、サポートの幅を広げています。2022年には、座談会で得られた声や当社独自の調査結果を基に、ドナーミルクへの理解を深め抵抗感を軽減することを目的とし、「ドナーミルクご利用家族向け・情報Book」を作成し作成しました。このBookは、日本母乳バンク協会や日本財団母乳バンクを通じて、ドナーミルク利用病院に配布されています。ドナーミルクの安全性と有効性に関する情報やドナーミルクを利用したご家族の体験談を掲載することで、不足する知識を補い、使用の是非を判断できるよう手助けしています。

また、他にも2020年から3年連続で、母乳パッドや母乳フリーザーパックなどの対象商品の売上の一部を一般社団法人 日本母乳バンク協会に寄付する「#ちいさな命を救おう」キャンペーンを実施しました。多くの方に賛同いただき、このキャンペーンを通して約1,000万円(2020年~ 2022年)を寄付しています。

そして2022年度には、ドナーミルクを利用した赤ちゃんは800人を超え、着実に実績を出しています。

  • 母乳バンクのドナーミルクを利用された赤ちゃんとご家族の座談会の様子

2023.11