Heart Report 2026年12月期(70期)中間報告書
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代表取締役社長
1997年入社。国内営業、その後、国内子会社へ出向し営業統括を経て、2010年より中国に赴任。2014年PIGEON (SHANGHAI) CO., LTD.取締役、2017年同社取締役社長、中国事業本部長、取締役上席執行役員を歴任。2025年3月代表取締役社長に就任。
ピジョンの「哺乳器・乳首」を世界へと広げ、赤ちゃんにやさしい社会の実現に貢献していく
株主の皆様におかれましては、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
2026年度より新たに「第9次中期経営計画」が始動し、半年が経過しました。現在の進捗状況や成果などを皆様にお伝えできればと思います。
第9次中期経営計画の初年度に、確かな手応え
第9次中期経営計画の初年度となる2026年度中間期は新中計の発表直後という重要な時期でしたが、中計で定めた施策を各事業本部が着実に実行した結果、哺乳器・乳首を中心に、米州・欧州市場を中心に成果が表れ始めています。本中計では『収益性を伴う持続的な成長の達成を目指すこと』を基本の方向性として定めており、社内に目を向けると、最前線で働く若手社員に至るまで、利益率の向上やコストダウンへのこだわりが根付いています。日本や中国でも売上が拡大したほか、シンガポール事業が管轄する地域では、注力しているインドやインドネシアで広口哺乳器が拡大するなど、どの商品をどの地域で伸ばすか、という観点で推進している地域戦略・商品戦略にも手応えを感じています。
第9次中計では、3年後の数値目標とともに、10年後を見据えたビジョンも掲げています。現在約10%の哺乳器・乳首の世界シェアを約2倍の20%へ引き上げることを目標としています。中計策定後、事業環境の変化も見られますが、現時点では、中計で打ち出した戦略の方向性は正しいと強く認識しています。
昨年11月に導入したCxO制度により、グループ全体の最適化を図るための機能軸を担うCxOと事業本部長が、3年後、10年後の方向性を見据え、自律的にやるべきことを考えて行動しており、その意味でも経営基盤は強化されています。私は社長として、細かな指示を出してマイクロマネジメントをするのではなく、各リーダーが自律的に動ける環境を整えるとともに、その思考や行動に対して「なぜ」と問いかけています。その問いを受け、自ら考えることで、課題を自分事として捉え、能動的な行動につながると考えるからです。
毎月、私を含めたトップマネジメントと各CxOおよび事業本部長が議論する経営会議では、単に業績数値や進捗を報告するだけでなく、施策の成功要因や認識した課題を共有し、組織の壁を越えてアイデアを出し合うなど、伴走する姿勢で建設的な議論を進めています。その効果を感じられた一例が、中東情勢を受けた対応です。短期的なコスト上昇リスクに対して、CxOや各事業部が機動的に連携して動けたことで、特別対策チームを組成することなく、環境変化に柔軟に対応することができたことは大きな成果だったと考えています。
Pigeon Group DNA・Pigeon Way(企業理念)
全事業で増収を達成し、各地域で着実な成果を実感
当中間期の業績は、全体として増収増益を達成することができました。日本事業での高付加価値品の好調や、海外事業での主力商品の堅調な推移により全事業で増収となり、売上高は589億円(前年同期比9.8%増)、営業利益は78億円(同17.9%増)、経常利益は79億円(同16.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は52億円(同12.9%増)となりました。増収による売上総利益の増加と利益率の改善により、成長投資などをしっかり吸収し、増益を確保できています。
日本事業では、オフラインでの販売改善に加え、自社ECが力強い成長を見せました。育児家電やベビーフード、スキンケアといった高付加価値品が業績を牽引したほか、デザイン性と環境配慮を両立した「母乳実感®Sheer」や、「ピジョンキッズ」の「魔法のあわあわシリーズ」などの新商品も投入し、事業の幅を広げています。
中国事業については、オンラインを中心に成長が継続しており、最大のEC商戦である「618」に向けてプロモーションを強化した結果、大手EC自社旗艦店などでのセルアウトが前年同期を上回りました。消耗品類などに一部減少は見られましたが、主力の哺乳器・乳首やスキンケアが伸長し、利益面でも前年を上回る結果を出しています。
シンガポール事業については、中東情勢の影響による中東向け出荷の一部停止などがあり、利益面では前年同期を下回りました。しかし、マレーシアやオーストラリアでの販売が好調に推移したほか、注力するインドネシア市場向けには広口哺乳器の販売強化に向けた戦略商品の投入を開始しており、収益性の高い広口タイプへのシフトによる利益率改善の兆しも見えています。
米州・欧州事業については、主力の北米市場において、プロモーション施策の強化により哺乳器・乳首の販売が大幅に伸長しました。さく乳器や消耗品での競争激化といった課題はありますが、欧州においては主要国すべてで売上が大幅に伸長しており、事業全体としてはマーケティング費用を吸収して大幅な増益を達成しました。
地域ごとの役割を明確にし、成長戦略を推進
成長戦略では、地域ごとの役割を明確にし、どの商品をどの地域で伸ばすか、という戦略を深耕しています。 日本では、赤ちゃんの出生数は微減傾向にある一方で、共働き世帯は増加しており、育児を取り巻く環境や育児に求められるニーズは変化しています。当社は日本において、哺乳器・乳首で8割超、スキンケアで3割超のシェアを有し、盤石なトップシェアを確立しています。今後は、すでに成果が出てきている育児家電をはじめとする新たなアイテムやサービスの提案を通じて、国内で先行事例を生み出し、それらを他地域へ展開していくことで、日本事業がグローバル成長の起点としての役割を果たしていきます。
中国市場は、依然として最重要市場の一つです。これまでどおり「攻め」の姿勢を維持しつつ、効率的な事業運営によって着実に利益を確保し、そこで得たリソースを他地域の成長へと振り向けていきます。シンガポール事業では、哺乳器・乳首で3割超のシェアを確保し、一定のプレゼンスを有するインドネシアや中東などにおいて、高付加価値の広口哺乳器へのシフトを進めます。これまで苦戦してきたインドでは、クイックコマースの育成と、ドラッグストアなどの店頭におけるブランディングに注力することで、着実に売上を伸ばす道筋が見えてきています。
米州・欧州では、ママに寄り添うブランドとしてすでに確固たる地位を築いているランシノブランドと、ベビー・キッズ領域に強みを持つピジョンブランドの両軸で、相乗効果の最大化を図ります。哺乳器・乳首は両ブランドで展開していますが、ランシノブランドとピジョンブランドの両軸で、妊娠・出産から育児までをサポートする商品・事業を展開していく。こうした取り組みは、将来的な他地域への水平展開を見据えたテストマーケティングにもなると捉えています。
企業理念を基盤に、ピジョンならではの社会的価値を可視化
当社の経営基盤の核となるのは、「Pigeon Group DNA」や「Pigeon Way」といった企業理念です。「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」という当社のパーパスには、国内外のグループ全社員の約9割が共感を示しており、私はこの共感をさらに深めていきたいと考えています。すでに高い水準にあるこの共感度の数字を単に上げるのではなく、その深さを追求していきます。
また私たちは、財務指標だけでなくピジョンが当たり前のように行っている取り組みがどのように社会的価値を生み出しているのかなど、ピジョン独自のソーシャルインパクトKPIを策定するため、議論を重ねてきました。背景にある思いとしては、哺乳器・乳首を何本販売し、どれだけの利益を得たかという経済的価値の指標だけでは捉えきれない、当社ならではの創出できる社会的価値があるからです。それは、特別なケアを必要とする赤ちゃんの健やかな成長や、かつて授乳は主にママが担っていましたが、哺乳器・乳首という商品によって、パパやご家族、祖父母、親戚、友人など、赤ちゃんを取り巻く人々も、授乳を通じて赤ちゃんとの幸せな時間を共有できるようになったことなどです。こうした社会的価値をピジョン独自のKPIとして可視化し、役員の報酬体系にも組み込んでいくことで、私たちが提供する価値を社内外に伝えていきたいと考えています。
成長投資と株主還元を両立し、世界中の赤ちゃんにやさしい未来の実現へ
当社としては、財務体質の強みを活かし、現在の配当水準をベースとして、安定的な配当を継続していく方針です。10年後の姿を見据えたM&Aなどの成長投資にも戦略的に資金を投じ、企業価値の向上を通じて、将来的な増配も視野に入れた株主還元の拡充を図っていきます。
ピジョンは、世界中のより多くの赤ちゃんに幸せを届けることのできる会社です。当社が最も自信を持つ哺乳器・乳首で世界シェア20%を目指す真意は、世界中の一人でも多くの赤ちゃんに、よりやさしい未来を届け、赤ちゃんを取り巻く多くのご家族の幸せに貢献したいという思いにあります。株主の皆様には、私たちの目指す姿を是非ご理解いただき、引き続き温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。




