脱炭素社会実現に向けた取り組み

環境負荷軽減

考え方

私たちは、赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にするために存在します。
同時に、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題の解決をすることで、企業として持続的な成長を目指します。特に気候変動については、喫緊の課題として認識し、第7次中期経営計画(2020年-2022年)および第8次中期経営計画(2023年-2025年)の中でサステナビリティ経営における重点課題の1つに特定し、取組みを推進しています。

TCFD提言に基づく報告

当社は2021年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しました。

ピジョングループの主力製品である哺乳器・乳首、スキンケアビジネスを対象として気候関連リスク及び機会の財務影響分析を行い、分析結果および戦略を、気候関連リスクおよび機会に関するガバナンス、リスクマネジメント、指標・目標とともに「ピジョングループ TCFD Report 2023」において開示しています。

気候関連リスク及び機会についてのガバナンス及びリスクマネジメント

当社では、気候関連の課題のうち、水害により操業が中断するリスクのように短期・中期的な発生可能性が高く事業継続に直結するリスクは「GHOリスクマネジメント委員会」を中心としたマネジメントを行っています。
長期的な時間軸及び事業を横断した視点で対応する必要がある課題に対しては「サステナビリティ委員会」にて、気候変動を含む環境保全に関する中・長期のグループ目標の設定と進捗評価を行っています。
GHOリスクマネジメント委員会及びサステナビリティ委員会の委員長はどちらもグローバルヘッドオフィス(GHO)担当取締役が委員長を務め、両委員会における審議結果を取締役会へ報告しています。
ピジョングループは、Pigeon Green Action Planとして、2030年にスコープ 1&2 GHG排出量を2018年度比で50%削減すること、および2050年にスコープ 1&2 GHG排出量をネットゼロとするという長期環境目標を設定しました。この目標の達成度は、取締役(独立社外取締役除く)の退任時に支払われる株式報酬額を算定するための非財務業績指標のひとつになっており、温室効果ガスの削減実績が取締役(独立社外取締役除く)の報酬に反映される仕組みになっています。

戦略

1.気候シナリオ分析

当社グループは、様々な商品・サービスを世界90か国以上のお客様にお届けしています。気候シナリオを用いたリスク及び機会の分析を行うにあたり、まずは、中核ビジネスである日本事業及び中国事業における哺乳器・乳首、スキンケアの製造・販売ビジネスを分析対象としました。

分析に用いたシナリオは、世界平均気温の上昇を工業化前と比べて1.5℃に抑えるため脱炭素化へ向けて進む世界(1.5℃シナリオ)と、炭素排出量が多く世界平均気温が工業化前よりも4℃上昇する世界(4℃シナリオ)の2つとし、2030年時点(物理的影響は2050年)の世界を以下のように想定しました。

1.5℃シナリオで想定した世界 4℃シナリオで想定した世界
  • 環境配慮に対する消費者の意識が高まる。
  • 温室効果ガスの排出、化石燃料及び化石燃料由来の原料に対する規制が大幅に強化される。
  • 持続可能な生産のために、パームプランテーションに関する規制が厳格化される。
  • 水害、渇水の自然災害の発生頻度と深刻度が現在よりも増加する。
  • 環境配慮に対する消費者の意識は1.5℃シナリオほどには高まらない。
  • 低炭素化へ向けた強い規制は導入されない。
  • 水害、渇水の自然災害の発生頻度と深刻度が現在よりも著しく増加する。
  • 赤ちゃんの未来に対する不安感が出生数の減少要因の一つとなる可能性がある。

2.哺乳器・乳首、スキンケアビジネスにとってのリスクと機会

2-1.消費者市場の変化 

当社の基幹商品である哺乳器・乳首は、これらを必要とする赤ちゃんにとっては気候状況や政策に関わらず必須の育児用品ですが、4℃シナリオでは、気候環境の大きな変化(自然災害の頻発化と激甚化等)が予測されるため、赤ちゃんの未来に対する不安感などが出生数の減少要因の一つとなり、哺乳器・乳首の売上に影響する可能性があると考えています。

1.5℃シナリオでは、消費者の倫理的選択嗜好が高くなることから、バリューチェーン全体で環境に配慮された商品、消費者への訴求といった製品戦略が重要になると考えています。

1.5℃シナリオ及び4℃シナリオのいずれにおいても、気候が変化し、自然災害が現状よりも多発化することが予想されます。このため、高温化、多湿化、乾燥化に対応するための商品や、渇水時や水害による断水時に、従来商品よりも節水型であるもしくは水を使用せずに使用できる商品の需要が高まることが予想されます。

 

2-2.政策・規制の変化

1.5℃シナリオでは脱炭素化へ向けた強い政策・規制が導入され、当社にとっては温室効果ガス排出量に炭素税が課されるもしくは排出量取引制度が適用されることにより、炭素税の支払いもしくは排出枠の購入コストが発生するリスクがあります。

また、脱炭素政策の世界的強化が、購入電力、輸送運賃、パーム由来成分含有原材料、化石燃料由来プラスチック原料のそれぞれの価格の上昇、化石燃料由来プラスチックの使用を制限する規制をもたらすことが予想されます。これらは製造コストや開発コスト・設備投資の増加要因となる可能性があります。

 

2-3.自然災害の多発化

1.5℃シナリオ及び4℃シナリオのいずれにおいても、世界平均気温が現在よりもさらに上昇することから、異常気象の発生頻度が高まり、水害、渇水、感染症拡大によるサプライチェーンや物流網の混乱と操業中断が予想されます。また、タイのバンコク近郊にある生産拠点は土地の海抜が低いため、将来的に海面上昇により慢性的に浸水する可能性があります。

生産を安定的に行えるよう、原材料と生産品の在庫確保のほか、ピジョングループ内での生産拠点の一時的切り替えや主要原材料の2社購買などの対策をとっています。

気候関連リスクおよび機会がもたらしうる潜在的な財務影響額を「ピジョングループ TCFD Report 2023」において開示していますので、ご参照ください。

TCFD Report

気候関連のガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標の詳細を「ピジョングループTCFD Report」にて開示しています。