Heart Report 2025年12月期(69期)報告書
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代表取締役社長
1997年入社。国内営業、その後、国内子会社へ出向し営業統括を経て、2010年より中国に赴任。2014年PIGEON (SHANGHAI) CO., LTD.取締役、2017年同社取締役社長、中国事業本部長、取締役上席執行役員を歴任。2025年3月より代表取締役社長。
「赤ちゃんにやさしい場所」を世界へ ― 第9次中期経営計画の始動にあたって
株主の皆様におかれましては、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
当連結会計年度をもちまして第8次中期経営計画が終了し、2026 年度より新たに「第9次中期経営計画」をスタートいたしました。ピジョンが「世界中の赤ちゃんの成長を支えるグローバルカンパニー」としてさらなる飛躍を遂げるための、新たな戦略と決意をお伝えいたします。
社長就任から1年を経て改めて認識した、ピジョンの「揺るぎない精神」
社長として経営を進めていく中で改めて強く認識するのは、創業当初から貫いてきた -赤ちゃんにより良いものを届けたい- という「赤ちゃん第一主義」の姿勢が、今も綿々と受け継がれていることの実感です。
ピジョンの強みは、圧倒的な製品力やシェアだけではありません。専門的なケアを必要とする赤ちゃんのための共同研究や母乳バンクの支援、次世代への「赤ちゃんを知る授業」といった活動は、単なる一企業の事業活動の枠を超えて、当社の事業そのものが社会全体にプラスのインパクトを与えていると自負しています。人事制度においても、3カ月間へ期間を拡充した有給育児休業制度「すくすくいっしょ」など、他社からも参考とされる制度になっており、より子育てをしやすい社会環境づくりにも貢献していると思います。
これらは、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にするという私たちの存在意義の実現に向けた取り組みであり、結果として国内外の社員のエンゲージメントを高め、持続的な成長の源泉となっています。
Pigeon Group DNA・Pigeon Way(企業理念)
第8次中期経営計画の総括:財務目標の未達を真摯に受け止め、収益力回復への足場を固める
第8次中期経営計画において掲げた財務目標に関しましては、初年度の2023年度に発生した中国事業でのALPS処理水放出に伴う影響やシンガポール事業での在庫調整の影響等も大きく、残念ながら未達となり、株主の皆様のご期待に沿えない結果となりました。
その一方、最終年度の連結売上高は、2桁増収を果たした中国事業をはじめ全事業で増収となり、前期比4.8%増の1,091億円となりました。営業利益については、大幅な増益となった日本・シンガポール事業がけん引する形で前期比8.4%増の131億円となりました。また、次なる第9次中期経営計画において私たちが重視する指標として掲げる営業利益率についても、前期から0.4ポイント上昇の 12.1%と、着実な収益力の回復軌道を描くことができました。
加えて、第8次中期経営期間において、哺乳器・乳首、さく乳器といった基幹商品は堅調に成長を続け、女性ケア、育児家電、ドリンキングカップといった新規領域の商品も順調に育ち、特に北米と欧州では、哺乳器・乳首の売上が4倍に伸長するなど、今後の成長に向けた確かな手ごたえを得ています。
第9次中期経営計画:営業利益率へのこだわりと欧米市場を中心としたグローバル攻勢の加速
2026年度からスタートした第9次中期経営計画では、「商品戦略」「地域戦略」「経営基盤の強化・ESGの着実な取り組み」の3つの柱を軸に、収益性を伴う持続的な成長の達成を目指します。
商品戦略においては、ピジョンの最も得意とする哺乳器・乳首を核に成長を加速していきます。哺乳器・乳首は、赤ちゃんが直接母乳を飲めないとき、その健康と成長を支える生命線となるものだと私は捉えています。ピジョンの哺乳器・乳首は、現状、展開エリアの拡大途上にありながら、世界で約11%のトップシェアを確保しています。これを将来的にはグローバルシェア20%という圧倒的な水準にまで引き上げる目標を掲げています。
赤ちゃんの哺乳に関し、70年にわたる研究開発を通じて培ったピジョンの哺乳器・乳首は、世界一の品質だと自負しておりますが、商品の競争力だけでなく収益性が高い点も大きな強みとなっています。またこの哺乳器・乳首を通じてお客様から得られたピジョンへの信頼は、強力なブランド力となって、巨大なグローバル市場に挑むピジョンのさらなる成長を後押しする力になると考えます。そして、当社の成長戦略をさらに加速させるためのM&A等も選択肢の一つとして位置づけ、哺乳器・乳首の売上を10年後には2025年度の倍にまで拡大していきたいと思います。
地域戦略に関しては、日本・中国の安定的成長と東南アジア・インド等でのこれまで以上の高成長の維持を目指しつつ、第9次中期経営計画では米州・欧州を最重点エリアと位置づけています。具体的には、ピジョン・ランシノの両ブランドを通じて、哺乳器・乳首のさらなるシェア拡大に注力します。ランシノは、「母乳育児の専門家」としてのブランド地位をすでに確立しています。ランシノブランドで展開するさく乳器と親和性の高い哺乳器・乳首の事業展開にも注力することで、「すべての授乳を支える専門家」としてのブランドへと飛躍を目指します。一方、ピジョンブランドでは、北米のECチャネルを中心に哺乳器・乳首を展開していますが、幅広い顧客層に向けたランシノとは異なり、高価格帯での展開を行っております。このプレミアム戦略が奏功し、ピジョンブランドへのご関心を集め、その高い品質を知っていただく機会を得ることができました。
第9次中期経営計画の3つ目のポイントである経営基盤については、昨年12月より新たにCxO制度を導入し、4事業を横断する機能軸でつなげることで基盤強化を図ります。従来の4事業制では各事業が迅速に意思決定を進めて事業を展開してきましたが、今後はCxO制で従来のGHOの機能を全体最適の視点からさらに強化し、研究開発やコストダウンなどの効率化を進めていきます。
持続可能な未来の創造:赤ちゃんとご家族に寄り添い、社会価値の向上を追求する
中長期での事業リスクを低減するためにも、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)への取り組みは重要であり、これまでも積極的に推し進めてきました。環境面では「Pigeon Green Action Plan」に沿って、2023年から脱炭素・循環型社会・自然共生を軸に環境負荷の削減に努めています。2025年には、ピジョンの2030年に向けた温室効果ガス排出量削減目標が、科学的な根拠に基づいていることを示す「SBT認定」も取得しました。環境に加え、先にご紹介した社会的インパクトにつながる諸活動、さらには不断のガバナンスの高度化に向けた取り組みなど、当社のサステナビリティの活動は、外部の第三者機関からも高い評価をいただいており、今後もこの評価を維持・向上できるよう、明日生まれる赤ちゃんを意識しながら、引き続き注力していきます。
株主の皆様へ:明日生まれる赤ちゃんの未来を、共に創るパートナーとして
ピジョンは、売上や利益といった「経済価値」と、赤ちゃんや社会への貢献という「社会価値」を両立させることで、持続的な成長を目指しています。
当期の株主の皆様への還元については、第8次中期経営計画で掲げた方針に沿って、安定的な配当を継続し、当期末は1株当たり38円とさせていただきました。
2026年度は新たな中期経営計画のスタートの年です。私たちは「赤ちゃんにやさしい場所をつくる」という揺るぎない使命を胸に、企業価値のさらなる向上に邁進いたします。株主の皆様には、ピジョンという会社そのものが、赤ちゃんとその未来を支える企業として、これからの社会においても必要とされ続ける存在であると感じていただき、末永くお支えいただけましたら大変うれしく思います。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。




