母乳バンク支援活動 Vol.3
どんな状態で生まれても成長する力を育める
母乳バンク支援活動 Vol.3
日本
世界では、毎年出生数全体のおよそ7人に1人にあたる約2,000万人以上の赤ちゃんが2,500g未満の低体重で生まれています。※1
そのなかでも、様々な感染症や病気に罹るリスクが高い極低出生体重児(1,500g未満で生まれた赤ちゃん)においては、「母乳は薬のように大切なもの」とされ、母乳を与えることによって、生死に関わる壊死性腸炎に罹るリスクを、人工乳に比べおよそ1/3に低下させる効果があると言われています。※2
※2 QUIGLEY MA. HENDERSON G. ANTHONY MY. ET AL. FORMULA MILK VERSUS DONOR BREAST MILK FOR FEEDING PRETERM OR LOW BIRTH WEIGHT INFANTS. COCHRANE DATABASE SYST REV. 2007; (4):CD002971.
しかし、全ての母親が出産直後から十分な母乳が出るわけではなく、必要量の母乳を与えられないこともあります。そのような場合、寄付された母乳を低温殺菌処理した「ドナーミルク」を与えることが推奨されており※3、その処理・保管をする施設が「母乳バンク」です。ピジョンでは、専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族向けの活動の一つとして、日本をはじめとして、中国・インド・ベトナムなどにおいても、母乳バンクの支援を行っています。
※3 早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言, 日本小児医療保健協議会栄養委員会, 日本小児科学会雑誌, 第123巻第7号
医療従事者向けの動画「ドナーミルク・スタートガイド」を制作
ドナーミルクを利用する病院は年々増加しており、2024年度には100施設を超えました。一方で、ドナーミルクを利用されている看護職者から「導入時にはドナーミルクがどんなものか分からなかった」「在庫や発注など事前に取り決めておくべきことがあった」などの取り扱いに困った声が聞かれました。このようなお声を受け、母乳バンク支援の一環として、病院でのドナーミルクのスムーズな導入/運用をサポートすることを目的に、「ドナーミルク・スタートガイド」動画を日本母乳バンク協会・日本財団母乳バンクと連携し、制作いたしました。
動画は、①基礎編「母乳バンク・ドナーミルクとは何か?」②運用・実践編「自施設に合わせたドナーミルクの取り扱いはどうすればいいの?」③看護ケア編「ドナーミルクを使用するご家族へのケアについて」の3部構成です。動画内では、「ドナーミルク導入準備チェックリスト」を提示することで、実際の導入に役立つ情報を提供しています。また、参考動画として、今後のご家族への寄り添い方のヒントとしていただけるよう、ドナーミルクを使用されたご家族や母乳を提供したドナーへのインタビューも公開しています。
本動画は、2024年6月に開催された第7回母乳バンクカンファレンスにて、医療従事者に向けて報告をしました。また、本動画の視聴者アンケートでは、動画の満足度が「とても満足」「やや満足」で100%と、良い評価をいただいています。
ピジョンは、赤ちゃんがどんな状態で生まれても成長する力を育める社会の実現を目指し、今後も母乳バンクの普及・啓発活動に励んでまいります。
2025.11
関連リンク
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