循環型社会実現に向けた取り組み

環境負荷軽減

ピジョングループは、省資源とリサイクルを推進し、グループ全体で資源の消費と廃棄物の発生を抑制して環境への負荷を軽減し、
「明日生まれる赤ちゃんの未来にも豊かな地球を残す」ために、持続可能な資源循環型社会の実現に貢献します。

哺乳器のリサイクル

哺乳器は数ある育児用品の中でも、新生児の時から使用される場合が多く、使用済みとなった後でもご家族の方に愛着を感じていただける製品の1つです。私たちはお客様から役目を果たした使用済みの哺乳器を大切にお預かりし、新たな形に変え、資源を再利用できるようにするための資源循環プロジェクトを全社的に進め、プラスチックごみの削減を継続的に行っています。

シンガポールでの取り組み

PIGEON SINGAPORE PTE. LTD.では、 2030年までに50,000本の使用済み哺乳器を回収する目標を掲げ、 2019年から使用済み哺乳器のリサイクル活動を開始してきました。開始以来、4年間で合計52,837本の使用済み哺乳器を回収し、新たな製品として再利用されています。

ピジョンシンガポール「Go Green with Pigeonプロジェクト」WEBサイト

わたしたちの活動「哺乳器リサイクルキャンペーンの実施(シンガポール)」

中国での取り組み

中国でも使用済みの哺乳器をお客様から回収し、リサイクルする取り組みを開始しました。使用済みの哺乳器が、成長したお子様に使っていただける食事用のトレーとして生まれ変わり、ギフトとしてお客様に提供しています。

日本での取り組み

ピジョン株式会社は、株式会社赤ちゃん本舗と協働し、ご家庭で使わなくなったピジョンの哺乳器*の回収および再資源化の実証実験を開始しました。本実験は、関東エリアのアカチャンホンポ10店舗で開始し、2022年8月25日~2023年2月末までに、プラスチック製哺乳びん926本、ガラス製哺乳びん956本、乳首2,358個、その他パーツを含め合計で7,437個を回収しました。2023年3月からは回収ボックスの設置を全国124店舗に拡大します。回収された哺乳器は素材毎に分別した後、再生原料化され、新たな製品原料の一部に生まれ変わります。また、回収した耐熱ガラス製の哺乳びんにおいては、一部を原料として使用し、新たな哺乳びんとして生まれ変わらせる「循環型ものづくり」の取り組みも、2023年3月より開始します。

*哺乳器:哺乳びん(容器)+乳首+フード・キャップで構成された1つの製品。
わたしたちの活動「資源リサイクル実証実験-哺乳器回収エリア拡大(日本-ピジョン)」

紙容器のアップサイクル

ピジョンホームプロダクツ株式会社は、ピジョンが販売している「赤ちゃんの洗たく用洗剤ピュア」や「ベビー全身泡ソープ」などの使用済みトイレタリー用の紙製容器を同社工場内などの回収ボックスで回収し、ノートや絵本などへのアップサイクルを行います。
また、紙製容器のリサイクルに関する出張授業や、実際に紙製容器のアップサイクルを体験できる紙すき体験イベントなどを開催し、紙資源が資源循環される仕組みを消費者に説明することで、リサイクル活動の啓発を図ります。

*アップサイクルとは、元の製品に新たな付加価値を持たせて別の製品として再生させることです。

わたしたちの活動「紙製容器アップサイクルの実証実験を開始 (日本-ピジョンホームプロダクツ)」

産業廃棄物の抑制とリサイクルの推進

ピジョングループは、事業活動に伴い発生する産業廃棄物のうち、リサイクルされない産業廃棄物の削減に取り組んでいます。第7次中期経営計画(2020-2022)では、売上高当たりのリサイクルされない産業廃棄物量を年1%以上削減することを目標に掲げ、2022年は前年⽐28%削減、2018年度⽐80%の削減を達成しました。2020年から2022年の3年間で、生産子会社において、生産性の向上・歩留まり改善により、廃棄物となる原材料ロスの削減に努めたほか、生産過程での資材の廃棄量を最小限に抑えるため商品パッケージの設計を見直すなどの改良を行いました。また、リサイクルされていなかった産業廃棄物について、処理業者の見直しを行い、リサイクル処理を行える産業廃棄物処理業者へ処理委託を変更しました。

  • 産業廃棄物量原単位

※集計範囲:ピジョン株式会社および国内・海外の連結子会社
注1:決算月変更のため、’19/12期の国内拠点の売上高および産業廃棄物排出量は2019年2月から12月までの11ヵ月分の実績値です。
注2:リサイクルには、再利用およびサーマルリサイクルを含みます。

水資源の保全

経済協力開発機構(OECD)によると、急激な都市化や人口増加、経済変化に伴い、2050年には水需要が55%増加し、世界人口の40%以上にあたる39億人が深刻な水不足に陥ると予測されています。また既に水需給が逼迫し、水不足の状態に陥っている国や地域が存在しています。

この様な水資源に関する課題を当社でも受けとめ、取水量と排水量の差を水消費量と定め、製造工程の見直しや改善を行い、製造で使用した水を浄化し、再利用する取り組み等を生産工場にて実施し、製造に用いる水使用の継続的な効率化及び使用量の削減に取り組んでいます。

水使用量削減の取り組み(水リサイクル)

日本での取り組み

ピジョンマニュファクチャリング茨城では、水使用量を削減するために薬液タンクの洗浄方法を抜本的に改善しました。生産後の薬液タンクの洗浄作業の際、従来はタンク毎の洗浄に新たな水を投入して洗浄していましたが、タンクの洗浄に使用した洗浄水を他のタンクの洗浄に再利用する方法に2022年5月より改善しています。これまでは調合建屋内にある溶解槽、調合槽と、加工場内にあるストックタンクを個別に洗浄し、タンク毎に使用した洗浄水は廃水として、ボイラーの熱を用いて濃縮処理を行っていました。改善後の現在は、調合建屋内(溶解槽・調合槽)の洗浄で用いた洗浄水をストックタンクの洗浄にも再利用することを行っています。この取り組みにより、年間38.5m³相当の水使用量の削減効果を見込んでいます。また水使用量の削減により、廃水の濃縮処理に使用する燃料の使用量は、毎年2,100L程度削減することが可能となり、CO2排出量に換算すると、毎年6t相当のCO2排出量の削減効果になります。タンク洗浄の最終工程では、管理基準に基づき、熱水による殺菌洗浄を従来通り行っています。

  • ピジョンマニュファクチャリング茨城の薬液タンク

タイでの取り組み

Pigeon Industries (Thailand) Co., Ltd.は、取水した上水をろ過装置と逆浸透装置(RO膜)で処理することにより純水を製造し、純水を製造工程で使用しています。
逆浸透装置から不純物が濃縮された水が廃水として排出されますが、この廃水を砂ろ過タンクと活性炭ろ過タンクのろ過フィルターの洗浄水として再利用しています。この対策は、ろ過タンクの洗浄に用いる上水の使用量削減(年間で900m³)につながっています。

ピジョングループの生産拠点の水リスク評価

水ストレス(水需給に関する逼迫の程度)を評価する指標として、「人口一人当たりの最大利用可能水資源量」が用いれられています。
この指標では、生活、農業、工業、エネルギー及び環境に要する水資源量は年間一人当たり1,700m³が最低基準とされており、これを下回る場合は「水ストレス下にある」状態を表すとされています。当社では、特定の国における水リスクを地球レベルで共通に評価するツールとして、FAO (国連食糧農業機関)が開発した「Aquastat」を活用し、自社工場が所在する国・地域の水リスクを評価し、PIGEON INDIA PVT.LTD.が所在するインドを水ストレス国・地域と評価しています。

生産会社 所在国

Aquastat
人口一人当たりの最大利用可能水資源量
2018-2022(m³)

水ストレス・リスク評価

日本 3,380
中国 1,946 脆弱
インド 1,413 水ストレス下にある
タイ 6,317
インドネシア 7,542
トルコ 2,570

インドの生産拠点における取り組みについて

PIGEON INDIA PVT.LTD.の主要製品は、哺乳器・シリコーン製乳首等の成形品であり、スキンケアや洗剤等のように水資源に依存した製品は生産しておらず、取水量は全ての生産拠点の取水量に対して1%以下に留まっています。しかしながら所在する地域の水資源の課題を認識し、工場の節水活動に取り組んでいます。年間の取水量は1,000m³程度で、全て地下水を水源とし、汲み上げた水を工場内で浄化し利用しています。使用した水は敷地内の植木や芝生の散布水として再利用しています。現時点では当社の事業活動や環境へ影響を与えるような水リスクは顕在化していませんが、引き続き環境法令を含む環境関連情報等を積極的に入手し、工場の節水活動に活用し、水利用効率向上と節水管理強化に取り組んでいきます。

生産拠点における水使用量・排水量

*ピジョンホームプロダクツ株式会社、ピジョンマニュファクチャリング兵庫株式会社、ピジョンマニュファクチャリング茨城株式会社、PIGEON MANUFACTURING(SHANGHAI)CO., LTD.、PIGEON INDUSTRIES(CHANGZHOU)CO., LTD.、PT PIGEON INDONESIA、PIGEON INDUSTRIES(THAILAND)CO., LTD.、THAI PIGEON CO., LTD.、LANSINOH LABORATORIES MEDICAL DEVICES DESIGN INDUSTRY AND COMMERCE LTD. CO.
*拠点別の水使用量及び排水量は、ESGデータブックをご参照ください。