栄養摂取と健やかな成長への貢献

事業競争力向上とビジネス強靭化

基本的な考え方

授乳期および離乳期は赤ちゃんの健康に極めて重要な時期であり、赤ちゃんの発育に応じて適切な栄養を摂取することが大切です。

赤ちゃんの成長に伴い母乳やミルクだけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補うため、赤ちゃんの成長段階に合わせて段階的に離乳を進めることが望まれます。当社では、赤ちゃんの健やかな成長への貢献を目指し、育児中のご家族の離乳食の献立作成や調理の負担を軽減しながら、安心して赤ちゃんの発育のための栄養補給ができるように、ベビーフード、ベビー飲料、ベビーおやつを企画・開発・生産、お求めやすい価格で販売すると共に、離乳に関する不安やお困りごとの解消に向けた情報の提供を行います。

乳児及び幼児は咀嚼・嚥下等の口腔機能や消化・吸収機能、代謝に関わる腎臓機能等は未発達です。当社が提供する食品は、医学・栄養学の観点から、物性、衛生、栄養面に十分に配慮した品質を追求しています。当社はベビーフード、ベビー飲料、ベビーおやつ等、当社製品の品質保持、向上のため、日本ベビーフード協議会が定める自主規格(以降、自主規格)を順守した製品を提供しています。また、日本ベビーフード協議会に運営企業の一つとして参画し、業界全体の品質向上にも貢献しています。

< 日本ベビーフード協議会 自主規格 >

赤ちゃんの栄養改善への取り組み

赤ちゃんの成長の段階に応じて必要とされる栄養がバランスよく含まれるよう、多様な食材を選定し商品を開発しています。
商品の開発においては、ベビーフード、ベビー飲料、ベビーおやつ、それぞれについて日本ベビーフード協議会が定める自主規格に準じています。この自主規格では、「製品規格」「製品試験法」「容器包装の品質規格」「広告を含む表示に関する自主基準」が定められています。品質においては医学・栄養学的見地からの物性面・衛生面での配慮、乳児及び幼児に適したものとして、ナトリウムの含量基準、物性基準等が定められています。当社では、自主規格を準拠した上で、咀嚼機能が未熟な赤ちゃんでも無理なく咀嚼、嚥下ができるように発達段階に合わせ、食材の大きさ、固さ、とろみ、味付けを考慮したベビーフードを提供しています。またベビーおやつについては、乳児及び幼児の味覚形成の妨げにならないよう、塩分、甘さへの配慮を行っています。

ナトリウム含有量制限

・生後12ヵ月までの乳児用食品の場合 100g当たり200mg以下
・生後12ヵ月以上の幼児用食品の場合 100g当たり300mg以下
・果実類への食塩の添加は認めない

    *ベビーフード自主規格より

摂食時の物性

摂食時の物性は次のいずれかの状態であること
・均一の液状
・なめらかにすりつぶした状態
・舌でつぶせる固さ
・歯ぐきでつぶせる固さ
・歯ぐきで噛める固さ

    *ベビーフード自主規格より

赤ちゃんに不足しがちな鉄分の摂取について

鉄分は赤ちゃんの発育・発達にとても大切な栄養素ですが、母乳育児の場合は離乳食時期に不足しやすく、不足の状態が長引くと脳や神経の発達に影響を与えると言われています。このような課題への解決として、当社では専門家の監修の下、生後5ヵ月頃からの乳児用製品のシリーズに鉄を新たに追加配合し、赤ちゃんに必要な鉄を効果的に、手軽に摂取頂けるようにしました。

品質と安全性の取り組み

品質・安全の観点から、当社は日本ベビーフード協議会に参画しており、ベビーフード自主規格に従い、製品試験(栄養成分等の分析、微生物・重金属・残留農薬・外因性内分泌かく乱化学物質、放射能物質等の試験)を実施し、安全性を確認しています。加えてピジョン独自の基準PQS(ピジョン・クオリティ・スタンダード)に則り、ベビーフードにおいては、食品安全上のリスクとなりうるアレルゲン、異物などについても品質を厳しくチェックし、良質で安全な原料のみを採用しています。また製品設計時には中身の形状、物性を慎重に検討したうえで、保存テストによって品質の安全性を確認し、製品の中身や容器・包装がご使用時のケガや事故につながる可能性がないか複数の観点から分析を行うなど、リスク低減に努め、消費者の皆さまにより安心してご利用いただけるように取り組んでいます。

安全な原料を選定

食品の安全上のリスクとなりうる残留農薬、微生物、アレルゲン、異物などについて品質管理状況を厳しくチェックし、良質で安全な原料のみ採用しています。製品に使用する原材料情報はすべてデータベースで管理し、お客様から問い合わせをいただいた場合に迅速かつ正確な情報を提供できる体制を構築しています。

製品設計と安全性確認

ピジョン製品を安全にお召し上がりいただけるよう、まずは開発設計時に中身の形状、物性を慎重に検討します。そのうえで、保存テストによって品質の安定性を確認し、製品の中身や容器・包装がご使用時のケガや事故につながる可能性がないか複数の観点から検討を行うなど、リスクの低減に努めています。 また、製造を委託する協力メーカーの皆さまに対しては、定期的に監査を実施。一定水準の品質管理体制を維持し、さらに向上できるよう、協力メーカーの皆さまとともに継続的に取り組んでいます。

食品添加物について

食品添加物の使用は自主規格において、必要不可欠な場合にのみ、最小限に使用が限られています。
更に使用できる食品添加物、香料、栄養強化(補強材)もベビーフード、飲料、おやつ、それぞれに規定されています。

< 日本ベビーフード協議会 自主規格 >

お客様へのコミュニケーション

当社では、お客様の適正な商品選択を保護し、公正な競争を確保するため、法令で定められている表示義務項目だけでなく、自主規格で定められている表示に関する基準を、当社のガイドラインとして遵守しています。消費者の過剰摂取を防ぐための一回分の目安量表示、赤ちゃんの発達段階に応じて製品を選んでいただくための製品の対象時期の他、製品の使用、取扱いまたは調理などで、消費者に危険が及ぶ恐れ等がある場合は警告表示を行っています。

広告・マーケティング上のガイドライン

当社の広告やマーケティング活動によって、当社の製品が授乳より優れている等の消費者に対する誤解を防ぐため、製品が授乳の妨げとなる使用の恐れがある場合は、適切な使用方法と授乳の妨げにならないように、その注意を惹起する文言を表示記載することをルール化しています。

お客様への情報発信

お客様への情報発信として、離乳食を進められるご家庭の不安やお困りごとの解消と、赤ちゃんが食べる楽しさを体験する手助けとなることを目指し、月齢別のガイド情報や、簡単で楽しい離乳食レシピなどの情報をウェブサイト等で提供しています。

ベビーフードだけで一食を揃えた場合、メニューによっては栄養のバランスが偏ってしまう恐れがあります。 また乳幼児期に培われた味覚や食事の趣向はその後の食生活にも影響を与える可能性があり、この時期から栄養バランスの取れた食事が重要と言われています。 当社では、商品にご家庭で少し食材を足した食事をご準備いただくことで、栄養バランスがより良くなるという情報の発信と啓蒙が重要であると考え、ご家庭で簡単にバランスの良い食事ができるレシピ情報をウェブサイトやSNS等を使って情報発信しています。

パッケージ及びラベル表示について

製品のパッケージ表示においては、食品表示基準及び自主規格に基づく表示を行うとともに、お客様が離乳食を購入する際に特に確認する情報を分析し、複数ある商品の中からお客様に合った商品を見つけ出すことができるよう、パッケージでの情報提供に工夫を行っています。

パッケージ前面への表示

使用対象目安月齢

  • 成長段階の目安となる月齢表示はパッケージ前面に大きなサイズで強調文字で表示しています。

食材の大きさ、固さ

  • 月齢表示だけでなく、赤ちゃんの咀しゃく機能の発達段階に応じた、食材の大きさ、固さも表示しています。

栄養バランス

  • 1つのベビーフードの商品から摂取できる栄養素と、ご家庭で主食を加えた場合の栄養バランスを比較し、主食を加えた際に栄養バランスがよりよくなることをレーダーチャートを用いて分かりやすく表示しています。(レトルトパウチシリーズ)

食物アレルギー材料

  • 特定原材料として表示義務のある品目(7品目)と、任意表示として指定されている品目(21品目)を対象とし、商品の原材料に含まれる品目を全て表示しています。

パッケージ裏面への表示

賞味期限

  • 開封前の商品の消費期限を表示しています。2021年度から食品ロスの削減を目的に、年月日表示から年月表示に順次切り替えています。

使用方法

  • 商品を加熱してご利用いただく場合の、加熱法を分かりやすくイラストを使って表示しています。
  • 加熱の際に火傷等のケガを予防して頂くための、注意喚起を強調して表示しています。

原材料名

  • 使用した原材料と添加物に分けて、それぞれ割合の多いものから順に表示しています。

内容量

  • 内容重量、内容体積、内容数量を表示しています。

栄養成分の量及び熱量

  • 1食あたりの、栄養成分の量及び熱量を表示しています。

製造所および加工所の住所と名称

  • 当社製品の製造・加工委託先の住所と名称を記載しています。

問い合わせ窓口の連絡先

  • 商品に関するお問い合わせ窓口として、当社のお客様相談室の電話番号と営業時間を表示しています。

赤ちゃんの未来のために大切な栄養素をサポートする製品

当社では、赤ちゃんの発育とママ自身の体調管理の観点から、妊活期あるいは妊娠期・授乳期の女性の栄養摂取をサポートするために、葉酸の他、DHA、鉄、カルシウム、亜鉛などのサプリメント製品を幅広く提供しています。

また、製品の提供だけでなく、妊娠期・授乳期の女性に必要な情報提供も、当社の各種媒体を通じて積極的に行っています。不安を感じやすい初産婦の女性にも分かりやすく正しい情報を届けられるように、厚生労働省のガイドラインに基づく情報や医師の監修を得たコンテンツ等、幅広く発信しています。

ピジョンのサプリメントシリーズ

赤ちゃんの健やかな成長に貢献するためのその他取り組み

当社では生後間もない赤ちゃんをはじめとした授乳期の赤ちゃんの健やかな成長に貢献するため、当社の事業を展開する様々な地域で、情報や商品・サービスの提供等様々な支援活動を行っています。

母乳育児支援

母乳には、生後 6ヵ月までの赤ちゃんの成長と発達をサポートするために必要なすべての栄養素が含まれており、また、赤ちゃん の免疫力を強化し、感染症から守る働きがあります。「赤ちゃんの成長と発達には母乳育児が第一の選択肢である」この 考え方の下で、ピジョンは「母乳育児支援ステートメント」を宣言し、商品開発と支援活動の両面から母乳育児を応援してきました。

母乳バンク支援

専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族向けの活動の一つとして、日本・中国・インド・ベトナムなどにおいて、母乳バンクの支援を行っています。母乳バンクとは、母乳が必要な極低出生体重児(出生体重1,500g未満の赤ちゃん)が、ママの体調が悪い、十分な量の母乳が出ないなどの理由でママから母乳を得られない場合に、寄付された「ドナーミルク」を低温殺菌処理して安全な形で提供する施設です。 ピジョンは2020年9月、当時日本で2拠点目となる「日本橋 母乳バンク」を本社1階に開設するなど、全面的な支援を始めました。 2021年には日本母乳バンク協会主催の「母乳バンクのドナーミルクを利用された赤ちゃんとご家族の座談会」の事務局として、 母乳バンクの認知向上に向けた普及活動を積極的に実施するなど、サポートの幅を広げています。2022年には、座談会で得られた声や当社独自の調査結果を基に、ドナーミルクへの理解を深めて抵抗感を軽減するために「ドナーミルクご利用家族向け・情報 Book」を作成し、ドナーミルク利用病院への無償配布を開始しました。ドナーミルクの安全性と有効性に関する情報やドナーミルクを利用したご家族の体験談を掲載することで、不足する知識を補い、使用の是非を判断できるよう手助けしています。 また2020年から3年連続で、母乳パッドや母乳フリーザーパックなどの対象商品の売上の一部を一般社団法人 日本母乳バンク協会に寄付する「#ちいさな命を救おう」 キャンペーンを実施しました。多くの方に賛同いただき、このキャンペーンを通して 約1,000万円(2020年~ 2022年)を寄付しています。

専門的なケアを必要とする赤ちゃん向けの製品

すべての赤ちゃんがよりよく哺乳できることを追求し、病産院のNICU(新生児集中治療室)との共同研究に取り組み、「口唇口蓋裂児用哺乳器」「細口哺食器」「弱吸啜用乳首」など、低出生体重児や障がいをもつ赤ちゃんの体への負担を最小限にしながら母乳やミルクをしっかり哺乳できる専用商品を提供しています。また「早期産児おしゃぶりPreemie Care」は、治療や処置などの痛みを緩和させる一つの方法として用いられています。2021年には母乳バンクで使用される、ドナーミルクをより安全かつ衛生的に保存できるようにした「母乳保存・低温殺菌専用ディスポーザブルボトル」、2022年には病産院向けに、早産児・低出生体重児にママの初乳を一滴でも多く届けられるよう初乳採取をサポートするデバイス「Precious Drop(プレシャス ドロップ)」の販売を開始しました。さらに中国においては皮膚の発達が不十分な赤ちゃんのトラブルを軽減するため、低出生体重児専用オイルを開発しました。専門的なケアを必要とする赤ちゃんを常にサポートしてきたことで蓄積されたノウハウは、一般的な商品の開発にも反映され、ピジョンの商品力を支える大きな強みとなっています。

口唇口蓋裂児用の支援活動

当社では口唇口蓋裂児を支援するための活動を各国で行っています。経済面などの様々な理由で外科手術を受けられない口唇口蓋裂児のために無償で外科手術を提供する非営利団体Operation Smile等と協働し、専用の哺乳器やベビーフードの寄贈を行う等の活動を行っています。2021 年 5 月の活動では、中国雲南省の病院で 60 人以上の赤ちゃんが Operation Smileの支援によって無償で口唇口蓋裂の手術を受けるに際し、 PIGEON(SHANGHAI)CO., LTD.の社員が赤ちゃんとご家族を検査室や手術室 に案内するサポートを行いました。

授乳・さく乳室支援 

当社では、誰もが安心して母乳育児を続けられる環境整備や出産後の女性の復職支援を目的として、世界各国で一般企業内などさまざまな場所で設置・支援しています。

早産児医療保険

中国では、早産児のご家庭における医療費の経済的負担を少しでも軽減するために、中国平安保険会社と協力して、中国初の「早産児医療保険」を設立し、支援しています。

関連情報:水産認証材料の使用について

当社のベビーフードの商品には、水産物を材料として使用しているものがあります。
現時点ではMSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)やASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)等の認証を受けた材料は使用しておらず、使用率は0%※1となります。(2023年7月末時点)
今後は水産物の持続可能な利用を考慮して、検討を進めていきます。


※1 拠点カバー率100%