循環型社会実現に向けた取り組み ~循環型ものづくり~

ピジョングループは、省資源とリサイクルを推進し、グループ全体で資源の消費と廃棄物の発生を抑制して環境への負荷を軽減し、 「明日生まれる赤ちゃんの未来にも豊かな地球を残す」ために、持続可能な資源循環型社会の実現に貢献します。

循環型社会の実現に向けた取り組み

  • 2030年目標 植物由来または再生素材を 使用したパッケージ 50% 100% 81% (重量比)

  • 2023年実績 各素材における植物由来および再生素材の 配合率を含め精査中

世界のプラスチック消費量は増加しており、ピジョングループが販売している商品パッケージの多くもプラスチックを使用しています。持続可能な社会を実現するため、商品を作って終わりにしない循環型ものづくりを推進しています。
ピジョングループは2030年までに商品パッケージにおける植物由来または再生素材の使用比率を重量比で50%に向上させることを目標に、石油由来のバージョンプラスチック使用量の削減を進めています。日本では、これまで紙の台紙にプラスチックのブリスター包装をしていた哺乳びん消毒はさみのパッケージを森林認証紙に変更し、パッケージにおけるプラスチック使用量の大幅削減を実現しました。トイレタリー・スキンケア商品のパッケージに使用するプラスチックの代替材料も継続的に探求しており、中国では、 2023年7月に発売した海洋モイスチャースキンケアシリーズ(フィラグリンEXシリーズ※)のジャー容器(蓋を除く)に100%リサイクルプラスチック、シリーズ各商品の個箱には森林認証紙を採用しました。

※肌の角層細胞内にある「天然保湿因子(NMF)」の元となり、肌の保湿のキーとなる重要なタンパク質

  • 左:哺乳びん消毒はさみ (旧パッケージ) 右:哺乳びん消毒はさみ (新パッケージ)

  • 海洋モイスチャースキンケアシリーズ (フィラグリンEXシリーズ)

  • 100%リサイクルプラスチックを 採用したジャー容器(蓋を除く)

  • 2030年目標 リユース/リサイクル/コンポスト可能なパッケージ 100% 2023年実績 81% (重量比) ※肌の角層細胞内にある「天然保湿因子(NMF)」の元となり、肌の保湿のキーとなる重要なタンパク質 (SKU数比)

ピジョングループは2030年までにすべての商品パッケージをリユース、リサイクルまたはコンポスト(堆肥化)可能な設計にすることを目指しています。リユースは、商品を使用後に、使用前と同様の目的で再使用できること、リサイクルは、商品パッケージをお客様がキャップやボトル、ラベルなどのパーツごとに容易に分解することができ、さらに分解後の各パーツが複合素材ではなく単一素材で構成されているものと定義しています。2023年はピジョングループが販売した全商品SKUのうち81%の商品のパッケージがこの基準を満たしていました。ウェットワイプのパッケージやベビーフードのパウチ袋、一部商品のシュリンクフィルムが複合素材のためリサイクルできない素材となっています。

2024年には中国では新たにベビードリンクカップの「Training Master」シリーズを発売しました。「 Training Master」シリーズは商品パッケージ原料の50%がサトウキビ、残りの50%が木材パルプで作られていますが、防水機能もあるため、小物入れや植木鉢として長く使うことができます。さらに、役目を果たした後はパッケージを破砕することで、コンポスト(堆肥化)可能な商品パッケージを実現しました。ピジョングループは、リユース、リサイクルまたはコンポスト(堆肥化)可能なパッケージ素材の探求を継続していきます。

  • 「Training Master」シリーズ

産業廃棄物の抑制とリサイクルの推進

ピジョングループは、事業活動に伴い発生する産業廃棄物のうち、リユース・リサイクルされない産業廃棄物の削減に取り組んでいます。第7次中期経営計画(2020-2022)では、売上高当たりのリユース・リサイクルされない産業廃棄物量を年1%以上削減することを目標に掲げ、2022年は前年⽐28%削減、2018年度⽐80%の削減を達成しました。2020年から2022年の3年間で、ピジョングループの生産拠点において、生産性の向上・歩留まり改善により、廃棄物となる原材料ロスの削減に努めたほか、生産過程での資材の廃棄量を最小限に抑えるため商品パッケージの設計を見直すなどの改良を行いました。また、リユース・リサイクルされていなかった産業廃棄物について、処理業者の見直しを行い、リユース・リサイクル処理を行える産業廃棄物処理業者へ処理委託を変更しました。今後は、リユース・リサイクル率95%以上の維持を目標に取り組みを継続します。

  • 2030年目標リユース・リサイクル率 95%以上維持 2023年実績リユース・リサイクル率 95%

※集計範囲:ピジョン株式会社および国内・海外の連結子会社(算定カバレッジ100%)

注1:決算月変更のため、’19/12期の国内拠点の売上高および産業廃棄物排出量は2019年2月から12月までの11ヵ月分の実績値

注2:リサイクルには、サーマルリサイクルを含む

水資源の保全

経済協力開発機構(OECD)によると、急激な都市化や人口増加、経済変化に伴い、2050年には水需要が55%増加し、世界人口の40%以上にあたる39億人が深刻な水不足に陥ると予測されています。また既に水需給が逼迫し、水不足の状態に陥っている国や地域が存在しています。

この様な水資源に関する課題を当社でも受けとめ、取水量と排水量の差を水消費量と定め、製造工程の見直しや改善を行い、製造で使用した水を浄化し、再利用する取り組み等を生産工場にて実施し、製造に用いる水使用の継続的な効率化及び使用量の削減に取り組んでいます。

水使用量削減(水リサイクル)の取り組み(日本)

ピジョンマニュファクチャリング茨城では、水使用量を削減するために薬液タンクの洗浄方法を抜本的に改善しました。生産後の薬液タンクの洗浄作業の際、従来はタンク毎の洗浄に新たな水を投入して洗浄していましたが、タンクの洗浄に使用した洗浄水を他のタンクの洗浄に再利用する方法に2022年5月より改善しています。これまでは調合建屋内にある溶解槽、調合槽と、加工場内にあるストックタンクを個別に洗浄し、タンク毎に使用した洗浄水は廃水として、ボイラーの熱を用いて濃縮処理を行っていました。改善後の現在は、調合建屋内(溶解槽・調合槽)の洗浄で用いた洗浄水をストックタンクの洗浄にも再利用することを行っています。この取り組みにより、年間38.5m³相当の水使用量の削減効果を見込んでいます。また水使用量の削減により、廃水の濃縮処理に使用する燃料の使用量は、毎年2,100L程度削減することが可能となり、CO2排出量に換算すると、毎年6t相当のCO2排出量の削減効果になります。タンク洗浄の最終工程では、管理基準に基づき、熱水による殺菌洗浄を従来通り行っています。

  • ピジョンマニュファクチャリング茨城の薬液タンク

水使用量削減(水リサイクル)の取り組み(タイ)

Pigeon Industries (Thailand) Co., Ltd.は、取水した上水をろ過装置と逆浸透装置(RO膜)で処理することにより純水を製造し、純水を製造工程で使用しています。
逆浸透装置から不純物が濃縮された水が廃水として排出されますが、この廃水を砂ろ過タンクと活性炭ろ過タンクのろ過フィルターの洗浄水として再利用しています。この対策は、ろ過タンクの洗浄に用いる上水の使用量削減(年間で900m³)につながっています。

ピジョングループの生産拠点の水リスク評価

水ストレス(水需給に関する逼迫の程度)を評価する指標として、「人口一人当たりの最大利用可能水資源量」が用いられています。
この指標では、生活、農業、工業、エネルギー及び環境に要する水資源量は年間一人当たり1,700m³が最低基準とされており、これを下回る場合は「水ストレス下にある」状態を表すとされています。当社では、特定の国における水リスクを地球レベルで共通に評価するツールとして、FAO (国連食糧農業機関)が開発した「Aquastat」を活用し、自社工場が所在する国・地域の水リスクを評価し、PIGEON INDIA PVT.LTD.が所在するインドを水ストレス国・地域と評価しています。

生産会社 所在国

Aquastat
人口一人当たりの最大利用可能水資源量
2018-2022(m³)

水ストレス・リスク評価

日本 3,380
中国 1,946 脆弱
インド 1,413 水ストレス下にある
タイ 6,317
インドネシア 7,542
トルコ 2,570

水ストレス下にあるPIGEON INDIA PVT.LTD.の主要製品は、哺乳器・シリコーン製乳首等の成形品であり、スキンケアや洗剤等のように水資源に依存した製品は生産しておらず、取水量は全ての生産拠点の取水量に対して1%以下に留まっています。しかしながら所在する地域の水資源の課題を認識し、工場の節水活動に取り組んでいます。年間の取水量は1千m³程度で、全て地下水を水源とし、汲み上げた水を工場内で浄化し利用しています。使用した水は敷地内の植木や芝生の散布水として再利用しています。現時点では当社の事業活動や環境へ影響を与えるような水リスクは顕在化していませんが、引き続き環境法令を含む環境関連情報等を積極的に入手し、工場の節水活動に活用し、水利用効率向上と節水管理強化に取り組んでいきます。

生産拠点における水使用量・排水量

生産拠点における水使用量・排水量
ピジョングループの全生産拠点(カバレッジ100%)の10拠点の取水量と排水量は下図のとおりです。

*ピジョンホームプロダクツ株式会社、ピジョンマニュファクチャリング兵庫株式会社、ピジョンマニュファクチャリング茨城株式会社、PIGEON MANUFACTURING(SHANGHAI)CO., LTD.、PIGEON INDUSTRIES(CHANGZHOU)CO., LTD.、PT PIGEON INDONESIA、PIGEON INDUSTRIES(THAILAND)CO., LTD.、THAI PIGEON CO., LTD.、LANSINOH LABORATORIES MEDICAL DEVICES DESIGN INDUSTRY AND COMMERCE LTD. CO.
*拠点別の水使用量及び排水量は、ESGデータブックをご参照ください。

*「水ストレス下にある生産拠点」:PIGEON INDIA PVT.LTD