人権尊重への取り組み

基本的な考え方

人権の尊重は、持続可能な社会を築くための基盤として、国際的に重要な課題であり、企業活動における取り組みの要請が高まっています。

「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を存在意義としているピジョンにとって、事業に関わるすべての人々の人権を尊重することが、世界中で事業活動を行う上での責任であると同時に、企業価値を高めるための重要な要素でもあると考えています。
国際的に認められた人権を理解し尊重することは企業倫理綱領において指針・規範とし、ピジョングループ人権方針、CSR調達方針・ガイドラインを定め、パートナーの皆様とともに取り組みを進めます。

ピジョングループ人権方針

「愛」を経営理念・「愛を生むは愛のみ」を社是として掲げるピジョングループにおいて、人権を尊重することは事業活動の基礎です。人権尊重の取り組みを進めていくために、「ピジョングループ人権方針」を策定し、2024年5月の取締役会において承認されました。

優先度の高い人権分野

バリューチェーン全体においてすべての国際的に認められた人権を尊重しますが、ピジョングループの事業活動および取引関係の観点から、下記の人権を優先度の高い課題であると認識し、これらの課題に対する私たちの方針を具体的に定めています。
サプライヤーと請負業者を含む私たちのビジネスパートナーに対しても遵守することを求めていきます。

  • 差別の禁止
  • ハラスメントの禁止
  • 児童労働の禁止と若年労働者の保護
  • 強制労働の禁止
  • 賃金と労働時間を含む労働条件
  • 結社の自由と団体交渉権
  • 労働安全衛生
  • 先住民族と地域コミュニティ

取り組みの体制

ピジョングループの企業活動による人権への影響に責任を持って対応するために、グローバルヘッドオフィス(GHO)責任者を委員長とするGHOリスクマネジメント委員会がモニタリングする重点リスクの一つに「人権」を設定しました。人権リスク主管部門に「経営戦略本部」を設定し、人権を含む重点リスクの取り組み状況を定期的に取締役会に報告しています。
ピジョングループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえて定めた人権尊重の推進フレームワークに基づき、事業活動、製品・サービスならびにバリューチェーンによって影響を受ける人々(ステークホルダー)の人権尊重に取り組みます。

  • 取締役会:人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項について決定する
         本方針の遵守状況および人権デュー・ディリジェンスについてモニタリング等を行う
  • リスクマネジメント委員会:取り組み状況を取締役会に定期的に報告
  • 人権リスク主管部門:リスクマネジメント委員会委員長の任命のもと人権尊重の取り組みを実行する
  • 各事業セグメント傘下の各本部/グループ会社:従業員やビジネスパートナーへの浸透や対話を進める

人権尊重の取り組みプロセス

ピジョングループは、事業活動やサプライチェーンを通じた 1. 人権に対する影響評価、2. 負の影響の防止・軽減、3. モニタリング、4. 説明・情報開示を実施し、経営層の責任のもと継続して取り組みます。

人権尊重の取り組みプロセス

1.人権に対する影響評価

ピジョンでは、人権を尊重する経営を推進するため、「人権デュー・ディリジェンス」 の考え方に基づき、事業活動における人権への負の影響を特定・評価しています。

2024年11月、国内グループ会社の従業員*を対象に「人権リスク調査」を実施しました。本調査に先立ち、従業員一人ひとりが人権課題を「自分ごと」として捉えられるよう、ビジネスと人権に関する社内教育を実施しました。この教育では、法務省が提唱する「人権26類型」 を取り上げ、日常業務に潜む人権リスクへの理解を深めました。従業員からの回答と外部有識者の助言をもとに、事業活動における顕在的・潜在的な人権リスクを特定し、影響評価を行いました。
*従業員…取締役および監査役、正社員、嘱託社員(再雇用嘱託を含む)、派遣社員、パート、アルバイト

特にリスクが高いとされた上位5項目は以下の通りです。
パワー・ハラスメント/過剰・不当な労働時間/安全で健康的な作業環境/表現の自由/セクシャル・ハラスメント

今後の取り組み
調査から特定した人権リスクを防止および軽減するため、各種の取り組みを進めています。
特に、早期発見と是正を図るための苦情処理メカニズムとして、通報窓口「スピークアップ」の活用をはじめ、社内規程の整備や教育の継続的な実施により、人権尊重の文化を醸成していきます。また、定期的なリスク調査や外部有識者との対話を通じて、継続的なリスク評価を実施します。

2.負の影響防止・軽減

ピジョンでは、人権尊重の取り組みを確実に前進させるため、特定された人権への負の影響の防止と軽減に注力しています。
2024年の人権リスク調査の結果に基づき、2025年に日本BU内で新たな体制を構築しました。この体制のもと、私たちは以下の活動を推進しています。

(1)是正アクションの推進
年2回の定例会議を開催し、2025年6月の第1回会議で是正アクションのキックオフを行いました。以降の会議では進捗を共有・報告し、組織全体の対応力を高める取り組みを進めています。

(2)実態把握と継続的な改善
ヒアリングやアンケート等を通じて現状を正しく理解し、迅速な是正措置を実行します。その効果を継続的にモニタリングすることで、確実な改善につなげます。

これらの取り組みを通じ、私たちは人権を尊重する文化を醸成し、すべてのステークホルダーが安心して働ける環境を築いていきます

従業員・パートナーとの取り組み

  2023年まで 2024年 2025年

方針・体制など

CSR調達方針・ガイドライン策定/RSPO加盟(2020年)
国連グローバルコンパクト署名(2023年)

・人権方針策定

・人権を重点リスクに設定

・CSR調達方針・ガイドライン改訂/多言語翻訳開示

・持続可能なパーム油調達方針策定

・人権方針多言語開示

従業員

 

・グローバル:人権ミーティング開催

・日本事業6社:人権リスク調査(アンケート)実施

・日本:人権リスク調査結果を元にした人権への影響評価
日本事業の取り組み体制構築・人権ミーティングの開催

・中国 シンガポール:人権教育(e-ラーニング)

パートナー
(サプライヤー)

CSR調達アセスメント実施
(2021年より)

・CSR調達アセスメント実施

・責任ある調達実現のためのパートナーシップブック制作開示

・CSR調達アセスメント実施

従業員への浸透

  • 人権ミーティング
    人権方針の策定を受けて、2024年8月 にグループ全体における人権への取り組みの第一歩として、人権リスクオーナー主催で日本、中国、シンガポール、ランシノの各事業の人権担当者による、 第一回人権ミーティングを開催し、ピジョングループにおける人権に関する取り組みの説明並びにランシノグループ内での取り組み事例を各国に共有しました。
  • 人権方針の多言語翻訳
    人権方針を9ヵ国語に翻訳して開示し、各エリアでの理解浸透のために活用しています。
  • 教育研修
    ピジョングループでは、「ピジョングループ人権方針」の理解促進と浸透を目指し、人権尊重の取り組みを推進しています。その第一歩として、2024年11月にピジョン株式会社を含む国内グループ会社の全従業員を対象に、「ビジネスと人権」に関するe-ラーニングを実施し、満点取得者93.6%(1,458名)の結果を得ました。
    今後は海外のピジョングループ会社においても同様の教育を実施し、人権尊重の文化を確立していきます。
    また、定期的に人権リスク調査などの定量的な指標を参照することで教育の効果を検証し、継続的な改善を図っていきます。

サプライチェーンにおける人権

ピジョングループでは、人権尊重を含むCSR調達を推進し、サプライチェーンの各プロセスにおいて社会的責任を果たすために、お取引先(パートナー)の皆様との相互コミュニケーションを重視しています。

    • CSR調達アセスメントの実施
      2021年より国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が作成したセルフ・アセスメント質問表(SAQ)を使⽤してCSR調達アセスメントを実施しパートナーの人権尊重の取り組みについてもヒアリングしています。
    • 責任ある調達実現のためのパートナーシップブック制作
      ピジョングループの「責任ある調達(CSR調達)」の考え方を理解いただき協働していくためにパートナーシップブックを作成し対話をしていきます。

詳細は「責任ある調達の推進」を参照ください。

情報開示

人権尊重の取り組みについては当サイトや統合報告書などを通じて開示していきます。

英国現代奴隷法への対応

ピジョングループでは、LANSINOH LABORATORIES UK〔イギリス〕にて英国現代奴隷法(The UK Modern Slavery Act 2015)に基づき、ステートメントを公表しています。

救済措置

通報制度と対応メカニズム

内部通報制度として、「スピークアップ窓口」(社内通報制度)、「ピジョン・パートナーズライン」(お取引先様コンプライアンス通報・相談窓口)を各々設置しています。窓口の運用にあたっては通報者の保護について社内規定において定め運用しています。
コンプライアンス通報窓口の利用状況については、ESGデータブックにて件数を開示しています。