ちいさな産声サポートプロジェクト
早産で生まれた赤ちゃん、低出生体重で生まれた赤ちゃん、病気や外的疾患で治療が必要な赤ちゃんなど、専門的なケアを必要とする赤ちゃん一人ひとりの健やかな成長を支え、ご家族がより安心し幸せを実感できるように支援する活動を各国で行っています。
専門的なサポートが必要な赤ちゃん向けの商品
すべての赤ちゃんがよりよく哺乳できることを追求し、病産院のNICU(新生児集中治療室)との共同研究に取り組み、「口唇口蓋裂児用哺乳器」「弱吸啜用乳首」など、低出生体重児や障がいがある赤ちゃんの体への負担を最小限にしながら母乳やミルクをしっかり哺乳できる専用商品を提供しています。また「早期産児おしゃぶりPreemie Care(プリーミーケア)」は、治療や処置などの痛みを緩和させる一つの方法として用いられています。2022年には病産院向けに、早産児・低出生体重児にママの初乳を一滴でも多く届けられるよう初乳採取をサポートするデバイス「Precious Drop(プレシャスドロップ)」の販売を日本で開始。中国では皮膚が未熟な赤ちゃんのトラブルを軽減するため、低出生体重児専用オイルを開発。2024年には、口唇裂・口蓋裂や疾患などで直接授乳や人工乳首での哺乳が困難な赤ちゃんのための哺乳器(細口哺食器)をリニューアルした「ロングフィーダー」の発売を日本で開始しました。また2025年にインドでは「Paladai Baby Feeder」の発売を開始しました。「Paladai Baby Feeder」は100%シリコーン製で、インドで伝統的に使われている金属製の新生児用授乳器(パラダイカップ)をもとに、衛生性、耐久性といった使い勝手の良さを追求して開発された商品です。専門的なケアを必要とする赤ちゃんを常にサポートしてきたことで蓄積されたノウハウは、ピジョンのものづくりに反映され、ピジョンの商品力を支える大きな強みとなっています。
専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族向けの活動:
世界早産児デー啓発イベント開催
ピジョンは行政や地域、企業の垣根を越えて早産で生まれた赤ちゃん・ご家族を支える未来を目指し、11月17日の世界早産児デーに合わせ、日本NICU家族会機構(JOIN)と共同主催で「世界早産児デー啓発イベント2024 ~ちいさく生まれたこどもと家族を支えるあたたかい社会へ~」を開催しました。イベントでは東京都知事からのメッセージの上映や医療従事者による早産児と家族に対する理解と支えの重要性に関する講演、「皆で作り上げる、早産で生まれたこどもとそのご家族への応援メッセージボード」・「早産で生まれた赤ちゃんの写真展示」などの展示を行い、早産児とそのご家族について知り、考えるきっかけを提供しました。
専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族向けの活動:母乳バンクを支援
専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族向けの活動の一つとして、日本・中国・インド・インドネシア・ベトナムなどにおいて、母乳バンク※を支援しています。日本では2024年、ピジョン本社1階の「日本橋 母乳バンク」の全面リニューアルを行い、母乳の低温殺菌を行う処置室の面積を従来の約2倍に拡大しました。また、2023年秋に日本母乳バンク協会が実施したクラウドファンディングによって購入した最新式低温殺菌器を導入することにより、ドナーミルクの低温殺菌処理能力が従来の約3倍に向上しました。施設の全面リニューアルと新機器導入を記念して開催した式典には、24社42名のメディアが来場、TV・新聞・Web等で広く報道され、母乳バンクの認知拡大に寄与しました。またインドネシアでは、インドネシア最大の国立病院RSCMにおける同国初の母乳バンク設立を支援し、2024年12月にオープニングセレモニーを開催しました。
当社グループは今後も母乳バンクの普及活動を継続し、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題の解決と企業価値向上を目指します。
※早産や極低出生体重児(出生体重1,500g未満の赤ちゃん)が、必要な母乳を、自らの母親から得られない場合に、寄付母乳を低温殺菌処理し、「ドナーミルク」として提供する施設(「ドナーミルク」対象の赤ちゃんは日本における基準
専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族向けの活動:口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんを支援
ピジョングループは、中国、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシアなど、世界各地で口唇裂・口蓋裂※の赤ちゃんを支援する活動を行っています。2024年、中国では、非営利団体Operation Smileと協働して雲南省文山市に訪問し、口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんとご家族や医療従事者に向けて栄養アセスメントや栄養トレーニング、当社の口唇裂・口蓋裂の赤ちゃん向け哺乳器の使用方法の実現を行いました。Operation Smileは、口唇裂・口蓋裂の手術の基準を1歳以上かつ体重10kg以上の赤ちゃんに定めており、口唇裂・口蓋裂の赤ちゃん向け哺乳器の使用は手術前の適切な栄養摂取に貢献します。このほか、手術の際の事務的なサポートにも参加しています。商品の寄贈や、寄付活動だけでなく、各国の社員がボランティアで支援を行うことで、赤ちゃんとご家族に寄り添い、また医療従事者とも連携を行うことで、ブランド力の強化・向上につなげていきます。
※先天性障がいの一つであり、軟口蓋あるいは硬口蓋またはその両方が閉鎖しない状態の口蓋裂と、口唇の一部に裂け目が現れる状態の口唇裂の総称
一般消費者向けセミナー・医療従事者向けセミナー
ピジョングループは、一般消費者向けのオンラインセミナーやイベントを各国で開催しています。日本では、助産師から学べるスキンケアについての基礎知識、先輩ママが教える沐浴・保湿の実技レッスン、ピジョン社員による肌ケアグッズレッスンなどをテーマにしたドラッグストアとの共同セミナーをプレママ・プレパパ向けに開催。2024年は合計1,277名が参加しました。海外においても、母乳育児や乳歯ケアに関するセミナーを多数開催しており、歯科検診が義務化されていないマレーシアにおいては、デンタルクリニックと協働し、無料歯科検診やオーラルケアの方法について伝えるイベントを開催。2024年は合計2,300名が参加しました。また、各国で母乳哺育・授乳支援などに携わる医師・助産師・看護師・保健師・栄養士・薬剤師などの医療従事者の方々が、ケアや支援をする際に活かせる情報を発信する、医療従事者向けセミナーも実施しています。日本では授乳支援や産後ケア、妊娠期の栄養摂取をテーマに、授乳支援やスキンケア、欧州でも母乳育児をテーマにセミナーを開催し、2024年も世界各国の病産院の医療従事者にご参加いただきました。当社グループは、医療従事者向けのセミナーを通じて、病院や産院での認知と信頼構築を目指します。
赤ちゃんとそのご家族を取り巻く課題を解決するための活動
ピジョン早産児医療保険(中国)
2018 年11 月、PIGEON (SHANGHAI) CO., LTD.は中国平安保険会社と協力して中国初の「早産児医療保険」を設計しました。中国では、小さく生まれた赤ちゃんを救う新生児医療は進歩していますが、経済的理由から治療を断念する家族も多い現状があり、この早産児医療保険を通して早産児のご家庭における医療費の経済的負担を少しでも軽減できるよう支援しています。
後期早産児とご家族の心のケア(ピジョンにっこり授乳期研究会)
ピジョンでは、2014年に授乳期のママと赤ちゃんの専門家とともに、授乳期の課題を見つけ、ソリューションを提供する「ピジョンにっこり授乳期研究会」を発足。
2018年からはNICU(新生児集中治療室)・GCU(新生児治療回復室)に入院した後期早産児(妊娠34週~ 36週で生まれた赤ちゃん)を出産した母親が心の中に抱える想いを明らかにする研究に取り組み、学会等において発表を行っています。
また、その研究過程にて、母親への心のサポートの必要性が明らかになり、支援策の一つとして、本研究会の専門家とともにご家族へ向けたサポートブック(NICU・GCUに入院した後期早産児とそのご家族向け冊子)を作成、無償で提供しています。
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第 59 回日本母性衛生学会総会・学術集会学術発表(口演)の様子
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NICU・GCUに入院した後期早産児とそのご家族向け冊子「ちょっと早く生まれた赤ちゃんのサポートBOOK」
授乳期の研究活動(ピジョンにっこり授乳期研究会)
ピジョンは2014年、授乳期のママ・パパと赤ちゃんに携わる専門家とともに、授乳期の課題を見つけ、ソリューションを提供する「ピジョンにっこり授乳期研究会」を発足しました。「より多くの赤ちゃんが健康に育ち、より多くのママ・パパが子育てに幸せを実感できることを大切にする社会を目指す」という理念の下、授乳に関する情報を包括的にまとめた「しあわせ授乳期サポートBOOK」 を無償で提供しています。2016年に発行して以来、累計発行部数は100万部を超えました。
授乳・さく乳室の設置支援
ピジョンでは誰もが安心して母乳育児を続けられる環境整備や出産後の女性の復職支援を目的に、世界15ヵ国約230カ所(2024年12月末)で「授乳・さく乳室」の設置や商品提供等を通じた運営支援を行っています。
(過去の取り組み)
2023年12月末時点:世界20ヵ国約270ヵ所
2022年12月末時点:世界24ヵ国約450ヵ所
2021年12月末時点:世界23ヵ国11,005ヵ所
2013年から2021年まで、中国においては約10,000ヵ所以上の「授乳・さく乳室」にて運営支援を行い、授乳環境の整備に貢献いたしました。2022年からは、中国においてより課題が大きい低出生体重児の支援として母乳バンクの設置支援、口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんの支援として寄付や商品提供、ボランティア活動など専門的なケアを必要とする赤ちゃんの支援に注力しています。
Baby Friendly Future Project
赤ちゃんにやさしい未来を実現するために、社会全体で考え行動に繋げる取組み「Baby Friendly Future Project」を2021年に発足しました。
日本の中学生向けに教育プログラム「赤ちゃんを知る授業-赤ちゃんにやさしい未来のために-」を開始し、先生が授業を実施するための教材を約130校に無料で提供しました。
「Baby Friendly Future Project」について、詳しくはこちらをご覧ください。